債務整理をするためには弁護士や司法書士に手続きを依頼することになりますが、それには弁護士費用や司法書士への報酬が必要になります。
弁護士の中には分割払いや取り立てが止まっている期間中に支払ができるところもありますが、お金がどうしても用意できないという人が利用を検討したいのが法テラスの「民事法律扶助制度」です。
債務整理をしたいけどお金がない人に嬉しい法テラスの「民事法律扶助制度」の内容や利用する条件、利用方法などを見ていきたいと思います。
法テラスとは?
法テラスとは、「日本司法支援センター」といい、法務省管轄の公的な機関です。
法律相談の援助や代理援助、書類作成援助業務などを行っており、法テラスに常駐している弁護士や司法書士への法律相談を無料で1問題30分、3回まで行うことができます。
法テラス自体は債務整理専門というわけではなく、一般的な法律相談を広く受け付けており、その中で債務整理の相談も可能になっています。
また法テラスには「民事法律扶助制度」という公的な援助制度があり、債務整理の手続きを依頼したいけれど、費用を用意するのが難しい場合に弁護士費用や司法書士費用を立て替えてくれます。
債務整理のための費用を準備出来ない人でも債務整理をすることができるので、法テラスを利用する最大のメリットであり特徴です。
債務整理にかかる費用
- 弁護士、司法書士への着手金
- 弁護士、司法書士への成功報酬
- 裁判所への予納金
債務整理をするためにかかる費用には、一般的に弁護士や司法書士へ支払う報酬があります。
弁護士、司法書士へ支払う報酬の中にも、依頼時に支払う着手金と、債務整理の手続きが無事完了した時に支払う成功報酬があります。
その他に個人再生、自己破産の場合には裁判所に予納金を収める必要があります。
このように債務整理にかかる費用の大半は弁護士や司法書士に支払う報酬です。
手続きによって費用は異なりますが、20万円から50万円程度の費用がかかります。
分割払いに応じてくれたり、取り立てを止めてから、返済に回していたお金を弁護士報酬に充てることもできますが、着手金が必要な場合に自分だけで費用を出すのが難しい場合があります。
そのような時に利用できるのが、法テラスの民事法律扶助制度です。
民事法律扶助制度とは
民事法律扶助制度とは、弁護士費用や裁判の費用を自分で用意するのが難しい人のために、国が費用を援助してくれる制度です。
また、民事法律扶助制度を利用した場合、弁護士費用や司法書士の費用は所定の金額に決まるため、普通に弁護士や司法書士に依頼するよりも大幅に安い価格で依頼することができます。
年収などの一定の要件をクリアすることで、弁護士費用などを国が立て替えてくれるのですね。ただし、援助を受けた金額については、あくまで立て替えですので、債務整理後に分割して返還(償還)していかないといけません。
法テラスを利用するための条件
法テラスを利用するためには月収と資産総額に基準が設けられており、以下の月収と資産の要件をいずれも満たす必要があります。
月収の条件
世帯人数 | 手取り月収 | 一級地の場合 |
---|---|---|
単身者 | 182,000円以下 | 200,200円以下 |
2人 | 251,000円以下 | 276,100円以下 |
3人 | 272,000円以下 | 299,200円以下 |
4人 | 299,000円以下 | 328,900円以下 |
5人以上 | 家族が1人増加ごとに30,000円増加 | 家族が1人増加ごとに33,000円増加 |
一級地とは、東京や大阪など都心部のことを意味します。
月収については手取りで、配偶者がいる人は合算した金額となります。
またボーナスなどがある人はすべてを合計した額面の年収から税金や保険料を差し引いた後に月割りした金額となります。
さらに家賃や住宅ローンを支払っている人は、それぞれ以下の金額を上限として、負担額として手取り月収から差し引くことができます。
■家賃や住宅ローンの負担額
世帯人数 | 負担額 | 一級地の場合 |
---|---|---|
単身者 | 41,000円以下 | 53,000円以下 |
2人家族 | 53,000円以下 | 68,000円以下 |
3人家族 | 66,000円以下 | 85,000円以下 |
4人家族以上 | 71,000円以下 | 92,000円以下 |
このように見ると、収入の要件は多くの人が満たすことができる水準といえます。
仮に額面の月収25万円、年収300万円で夫婦で暮らしている人だと、手取り額は月に20万円程度になり、家賃や住宅ローン負担額を差し引くと手取り収入は14.7万円となり、要件を満たします。
独身の人でも15.9万円程度となりますので、年収300万円くらいだと収入要件を満たすことができる可能性は高いです。
資産の条件
世帯人数 | 資産額 |
---|---|
単身者 | 180万円以下 |
2人家族 | 250万円以下 |
3人家族 | 270万円以下 |
4人家族以上 | 300万円以下 |
資産は現金、有価証券、自宅や係争物件を除く不動産の時価などを合計した金額です。
上記の資産額を下回る人であれば、法テラスの「民事法律扶助制度」を利用することができます。
債務整理を検討する人だと資産が少ない人が多いので、資産についてもクリアできる人は多いと思います。(要件にひっかかるほど資産がある人は、その資産を原資に返済へ回したほうが良いです。)
法テラス利用時に負担する費用
法テラスを利用しても弁護士費用や司法書士への費用は負担する必要があります。
ですが、上述した通り、民事法律扶助制度を利用した場合には、専門家への報酬額は定められており、一般的な債務整理の弁護士、司法書士費用よりもぐっと安くなります。
任意整理
任意整理の場合には、債権者数ごとの着手金と実費のみで以下のようになります。
債権者数 | 着手金 | 実費等 | 合計 |
---|---|---|---|
1 | 32,400円 | 10,000円 | 42,400円 |
2 | 48,600円 | 15,000円 | 63,600円 |
3 | 64,800円 | 20,000円 | 84,800円 |
4 | 86,400円 | 20,000円 | 106,400円 |
5 | 108,000円 | 25,000円 | 133,000円 |
6~10 | 151,200円 | 25,000円 | 176,200円 |
11~20 | 172,800円 | 30,000円 | 202,800円 |
21以上 | 194,400円 | 35,000円 | 229,400円 |
法テラスで任意整理を依頼すると、減額報酬は取ってはいけないことになっていて、成功報酬はかかりません。
これらの報酬を月々5,000円から分割払いで返済していくことが可能です。
個人再生
個人再生を法テラスで依頼する場合、司法書士、弁護士への報酬は以下のようになります。
依頼先 | 着手金 | 実費等 | 合計 |
---|---|---|---|
司法書士 | 108,000円 | 20,000円 | 128,000円 |
弁護士 | 162,000~324,000円 | 35,000円 | 197,000~359,000円 |
上記に加えて裁判所への予納金が必要になります。
個人再生の予納金は20万円-22万円程度が必要になります。
自己破産
法テラスから依頼すると、自己破産の場合は以下の費用になります。
依頼先 | 着手金 | 実費等 | 合計 |
---|---|---|---|
司法書士 | 86,400円 | 17,000円 | 103,400円 |
弁護士 | 129,600~275,657円 | 23,000円 | 152,600~298,657円 |
個人再生と同様、上記に加えて裁判所への予納金が必要になります。
予納金は、官報掲載費用、破産管財人への報酬などで20万円から22万円程度が必要になります。
法テラスへの申込方法
- 法テラスに弁護士を紹介してもらう
- 法テラス登録の弁護士を探して申し込む
法テラスの民事法律扶助制度を利用するには大きく2つあります。
1つは法テラスに電話をして、法テラス常勤の弁護士や法テラスに登録している弁護士や司法書士を紹介してもらい、それぞれの弁護士、司法書士経由で民事法律扶助制度に申し込みをしてもらう方法です。
2つめは法テラスに登録している弁護士や司法書士事務所に直接連絡をして、その弁護士や司法書士経由で民事法律扶助制度に申し込みをしてもらう方法です。
自分で弁護士や司法書士を探す方法を「持ち込み方式」といいます。
法テラスに登録している弁護士や司法書士事務所は、地域ごとに法テラスの地方事務所のページなどに掲載されているので、自分の好きな弁護士や司法書士に相談することができます。
法テラスの立替費用の返済方法
債務整理のための弁護士費用を法テラスに立て替えてもらったら、その分の費用を債務整理後に返済していくことになります。
分割払いになっていて、返済額は月額5,000円から10,000円程度が基本です。
契約締結から2ヶ月後に返済が開始されるのが一般的で、銀行口座引き落としで返済をしていきます。
また生活保護の受給者やそれと同じくらいの収入の人であれば、返還の免除を受けることもできます。
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